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2026/02
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 カツン、カツンと、銀色の食器がぶつかる。蛍光灯に反射してぎらつく小さな刃物を向けるのは、肉の塊だ。茶色く焼けているが、赤い肉と血の面影を残している。刃物を入れると、じわりと肉汁があふれて、白い皿を汚していった。
 夜の七時を知らせる時計の鳩の声。生まれる前からある古いもので、もう誰も、それを気にすることはない。知らせが正しいのかどうかも。あたしは右手で携帯電話を握れば時間以上のことを知ることができるから。
 食卓はしんとして、冷蔵庫の機械音だけが響いている。四人家族がちょうど食事を囲む、木製のテーブルと椅子に、一人分だけの食事が広がっていた。ハンバーグとポテトサラダに生野菜、お味噌汁とお茶碗に半分ほどの白米。日本人の食事だった。
 それを口に入れるたびに、向かいの椅子に座っている女は、うれしそうにする。特に、女がこの食事を用意したわけではない。あたしが食べて飲み込むという動作を見ることにただ喜びを感じているだけのようだった。
「おいしそうね、アイちゃん」
 口を動かしながら、頷いた。あまりたくさん食べる方ではない。ただ、限界まで追い詰めて脳が食べ物を欲しがったときに食事をとるとずいぶん美味しいことを幼い頃に知ってしまったので、今も癖として残っている。
「私も、昔、人間の食べ物を食べたことがあるの。最初に食べたのはクッキーだったわ。食べているのを見ていたら、おまえの口に合うかどうかわからないが、って、くれたのよ。歯に触れると固くて、でも、ハーブの香りが口の中に一瞬で広がって、そのあと柔らかい甘みを感じたわ。今まで私の食べるものといったら、死骸か、死肉か、そんなものだったから。生きるため以外に食べることって知らなかった」
「食べるったって、その腹じゃあ……」
 あたしが女の腹にあいた大きな穴について指摘すると、そうね、と、少し暗い顔になった。
「昔はこんな穴、なかったのよ。あの人のことって、あまり話していなかったわね。聞いてくれる?」
「突っ込んだのは、あたしだから。聞かせたいなら、聞いている」
「優しいのね、アイちゃん」
 たんたんと食事をとるための、バックミュージックにすぎない。それで女が何かを、安心や安定を得られるのなら、あたしが居るだけでいいのなら、最低限の責任としてそうしているだけだ。女は目をつむる。思い出の引き出しを漁って、ひっくり返しているのだろう。
「私は、今はこんなおぞましい姿だけれど、昔はとても綺麗だったわ。自分で言うのは、照れちゃうけど、本当にそうだったのよ。あの人に出会ったのはその頃だったの。あの人はとても魅力的で、そして、人間らしかったわ。美しいものをつくるの。大きくて骨ばった手で、嘘みたいに柔らかくて美しいものをつくるの。私は隣で真似をするように氷をたくさん削ってみたけれど、うまくいかないわ。それを見て、子供みたいに笑ってみせるのよ。そして、私の手をとって、いびつだけど綺麗なものをつくるの。それが私に似合うって、そう言って。そう思ったわ。私は見た目こそ、その時は綺麗だったけれど、食べるものは死肉だったのだから!」
 あの人とは、芸術家なのだろうと悟った。女が氷を操るのがうまいのは、きっと、あの人の隣で何度も氷の塊を作り出したからだ。地球の温度で、どうしてもすぐに溶けて消えてしまう氷。
 食事中に死骸の話をされても、想像しても、気分は悪くならない。むしろ、そうか、やはりと納得する気持ちの方が大きい。形容として人間である、怪物であると言うのを女は好むが、女の心がどれだけ人間に近しいものであろうとも、過去からは逃れられない。女は、怪物で、あたしは人間だ。
「私はそれからたくさんのことを知ったわ。一番最初にびっくりしたことは、接吻よ。口と口とをあわせるの。私の口は、血で塗れているわ。素敵なことだって理解できたけれど、接吻をするのに随分勇気がいったの。でも、そばにいて、あの人の痩けた頬を見ていたら愛おしい気持ちになって、そっと口づけをしたわ。それから、私はあの人の綺麗な恋人になったの。毎日そばにいて、隣でにおいを嗅いだり、問いに答えて、時々触れるのよ」
 女は机に爪を当てて、何かを描くような仕草をしている。照れ隠しだろう。女にとってあの人の思い出は大切なもので、今のあたしとの関係性とは違っている。女に対してどうすればよいのか、冷静に耳を傾けているだけだ。なにかできたとして、過去に干渉して殺されることがあれば、それはあたしの悪い心が働いた結果にすぎないのだから。
「子供ができたのか?」
 尋ねて欲しいのだと思った。自分から、男女のまじわりについて話すことに抵抗があるだろうと思った。女は、はっとして目を見開くと、頬を赤く染める。
「そう。膨らんだ私のお腹を見て、あの人は喜んだわ。とてもね。でも、悪魔と人間の子なんて、どんなものが産まれるのか、無事に産めたとして、私達以外に愛してもらえるか、って。そうしていると、王様が、私を呼び立てて、子供と、それからもう子供ができないようにお腹をすっかり抜き取ってしまったの。そして、人間の男と触れられないようにと、全身から血を流していなければならない罰を受けたわ。でも、それで悲しかったけれど、間違ったのは私だったから。今はそう思えるけど、あの人の所に帰って、まだ愛してもらえると思って、名前を呼んだの……」
 そうか。今は血を垂れ流してはいないが、女の頭や腕、足から伸びる赤い角のようなものは血だったのだ。あれに触れると冷たくて、妙に鉄のにおいがすると思ったら。

 女は涙を浮かべ、無理やり笑うようにする。食器を置いて、あたしの小さな身体から伸びる短い手では女の頭に届かないが、椅子から乗り出すと、頬に触れることができた。冷たい、氷の涙が親指に触れた。
「子供はね、二人の愛の証でしょう。だから、それを失った上に怪物にされたものだから、あの人は最初は大きな叫び声をあげたけれど、少しずつ慣れていこうとしたの。でも、もうだめだった。あの人は私の心だって愛してくれていたけれど、触るたびにぬらぬらとした、ひどいにおいのする液体が体につくのよ。そんなので、以前のように愛しあえないって。仕方ないの。間違いだったのだから。ひどい人じゃあ、ないのよ、あの人は。普通で、素晴らしい人。ただ、人間と、怪物とではそもそも無理があっただけ」
「……あたしから言えることは、子供は、愛の証だけで終わるものではないということ。人であるということ。だから、おまえとあの人の子供、の価値観が、愛の証でしかないのなら、それは不幸にしかならない。さらなる不幸にしかならない」
 止まらない涙を拭ってやると、手先がかじかむような感じがした。長い緑の髪に手を入れて、手櫛をする。今でも、十分すぎるほど美しい姿をしていると思うのだが。女は、声を震わせる。
「だからね、私は最後に、名前をちょうだいって言ったのよ。別れる前に。名前がなかったの。私たちには概念がなかったわ。それに二人だけだったから、呼ぶ必要がなかったもの。そうしたら、あの人は、愛してくれたときの笑顔を作ってくれて、血塗れの手を握って、これからは、コンスタンティアと名乗りなさいと言ったわ。コンスタンティア、って、変わらないって意味だってことも教えてくれた。だから私は、納得して、あの人とさよならをしたの」
「あたしも、そう呼んだほうがいいか?」
 今だって、状況ならば、あの人と女とは変わらない。女は、アイちゃんと呼び、あたしはおまえとか、おい、とか、そう呼びかける。
 涙を拭っていたあたしの手をそっと、女は離した。もう大丈夫よ、と小声で言った。
「そうね。アイちゃんがつけてくれてもいいし、コンスタンティア、と、そう呼んでくれていいわ」
「そう呼ぶことで、おまえが、苦しくはならないか?」
「いいえ。気に入っているのよ。私は変わったけど、変わらない部分もあるんだわって、思ったの。根っこの部分はどうしても変われないわ」
「……気に入っているなら、それを、あたしは受け入れよう」
 手を引っ込めた。重なり合わない、二人のひととしての付き合い方。頼りたい時、頼られたい時、お互いに変わっていけばいい。あたしも救われている。ただ、ずっとそのままじゃ一緒に倒れて、死んでいくだけだ。二人でいるのだから、やれることはたくさんある。
「コンスタンティア。今日からおまえは、コンスタンティアだ」
 コンスタンティアは、にっと、歯を見せて笑う。これは、あたしの気持ちの押し付けかもしれない。あたしが、今、コンスタンティアと名付けた。
「ええ。アイちゃん、ありがとう。私はコンスタンティアよ」
「……食べるか?」
「え?」
 食べかけのハンバーグ。コンスタンティアは大きな自分の胸を、大きな手で押し付けるようにする。
「アイちゃん、嬉しいわ。でも、せっかくの食べ物を、私は消化できないのよ。飲み込んでも、お腹の穴に落ちてきちゃって、汚らしいの」
「味覚はあるのか?」
「え、ええ……」
 銀色のフォークで肉を少しだけ、コンスタンティアの口に近づけると、おそるおそる、口に入れた。ゆっくり、ゆっくり、咀嚼する。さっきよりたくさんの氷の結晶が、コンスタンティアの目から溢れてくる。
「おいしいわ。おいしい。すごく、おいしいわ……。でも、悲しいの……」
「気にするななんて言わない。あたしが背負う」
「アイちゃん、アイちゃん、ごめんね。私のこと、すごく、思ってくれるのに。私が人間だったら、アイちゃんはこんなことしてくれないだろうって、思ってしまうのよ」
「そうだと思う。あたしは、コンスタンティア、いまのおまえのことが、気に入っているんだから」
 あたしは、好きだなんて言わない。感情が、そうではないからだ。もっと違う何かであるが、はっきりとはわからない。近しい言葉を口にすることは、嘘ではないと思う。あたしがまだ、子どもだからだ。愛の証として、役割を終えたひとりぽっちの子どもだからだ、何も教われない哀れな子どもだからだ。

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 じりじりと日差しが白い肌を照らす。小粒の汗をこぶしで拭って、涼しくもない、じめじめとした木陰に腰を下ろした。目の前に見える深泥池は暗い緑の水が波打っていて、とてもじゃないが、触れて涼もうなどという気分にはなれない。近づくと喉につっかかるような、気持ちの悪い臭いもするからだ。
 流れる風の中で、鼓膜をうつのは蝉の声だ。夏の初めの蝉の声。いつの間にか時はたって、夏になっていく。昼休みに抜け出した学校で買ってきたアクエリアスは、すっかり皮の鞄の中でぬるくなって、人肌のようなもの。そのまま鞄にしまおうとすると、二メートルはあろうかという巨大な女が、ずるりとあたしの股の間から顔を出す。
 そのままペットボトルを、巨大な女が赤い爪の生えた手で取ると、あっという間にアクエリアスは凍りついてしまう。頬に当てられると、最初はきりりと痛んだがすぐに首元が心地よくなってきた。
「あら、やりすぎたかしら……」
 冷えたペットボトルを受け取って蓋をあけると、下のほうだけが凍っているようだった。
「充分」
 そう、女を見ずに言った。
「そ。なら、良かったわ。隣にいてもいい?」
「勝手にしろ」
「ありがと」
 女の緑の長い髪が、木々の、葉とかぶる。深い緑の髪。肌もほんのりと緑で、まさか人間だとは思わない。頭からは血の色をした角が生えて、腕も同じような角に串刺しにされている。日常だった。
「いいわね、ここは。すごく気分がいいわ……」
 綺麗な声をしていると思う。艶めかしすぎないが、子供らしくもない、大人の声。うっとりとした表情で、深泥池の波を見つめていた。少し気にして女を見ると、大きな緑の目を見開いて嬉しそうにする。
「ねえ、またここに来たいの。なんだか、すごく落ち着くから。私、アイちゃんと一緒に過ごせてとっても嬉しい。アイちゃんと出会う前は、こんなに穏やかな気持ちでいることなんて、あの人としかなかったのよ」
「……また、あの人?」
 女は頬を染める。あたしはちょっと気分を害したようなふりをした。まさか、そんなことで傷つくはずはない。女とあたしの仲は服従、でしかない。最初から、最後まで。
「ええ。ごめんなさいね。でも、私の大切な思い出だから」
 そう言って、女は、ぽっかりと穴のあいた腹を見つめた。大きな穴。向こう側まで見通せる、大きさはちょうど、赤ん坊が入るくらいの穴だ。真ん中には、キラキラ光る氷のような背骨が通っている。女は、子供を宿すことができない。
「アイちゃん。アイちゃんには、悲しい恋はしてほしくないわ」
 女が赤い爪で、傷つけぬようにと、あたしの髪にそっと触れた。人差し指の爪が少し触れるくらいのものだった。
 恋、なんて、そんなこと言われても。あたしは人から嫌われるし、考えるだけで心が押しつぶされそうになる。恋とか、愛とか、そんな人間らしいと言いながら、やることは獣と同じじゃないか。
「ゆっくりでいいの。私はたくさん生きてられるから。私を踏み台にしてもいいから、誰かを好きになってみるって、とても素敵な感情だから、わかってほしいな、って、そう思っていただけなのよ」
「そんな身体にされたっていうのに?」
 大きな、赤ん坊の穴。女は動揺しない。ふふっと軽く、優しく、聖母を思わせるような笑みをつくるだけだ。
「ええ。それでもいいって私は思って、幸せだった。恋の行き着く先って、契りを結んで子供をつくることだけではないと思うから。だから私はアイちゃんが好きよ」
 恥ずかしげもなく、そんなことを。これが大人の余裕って、ものなのか。ごまかすみたいにアクエリアスを口にした。喉に氷に近い液体が通っていって、ぶるりと全身を震わせる。

 すると、ちょうど目の前に、先程まで泣き散らしていた蝉が仰向けになって落ちてきた。六本の足をむずむず動かしながら、ジージーと強く泣いている。もっとそばに寄って観察していると、泣き声は弱くなり、動いていた六本の足をたたんで、ついには動かなくなる。
 すこしつついてみるが、蝉は、動かない。そこで命が消えていったことを知った。あたしの行く先行く先で、命は消えていくのを、女は、死の匂いがするというのだ。
 女は蝉の死骸を拾い上げて、じっと、大きな掌に乗せて見つめている。
「どうするんだよ、そんなもの」
「え? 埋めてあげようかしらって」
「放っておけば、鳥とか、蟻とかが食うんだからさ」
「いいのよ。私がしたいだけなの。目の前の死に対して、私の感情を表したいだけなのよ」
 そうして立ち上がると、木の根の近くを爪を使ってうまく掘ったかと思うと、蝉の死骸を入れて埋めてしまった。そうすることで鳥には食われないだろうが、それだけだ。蝉の死骸に起きることが対して変わってはいない。女の、エゴだ。
「こういう風になれたのってこの世界のおかげだわ。この世界は生と愛に満ちていて、眩しくて、とても素晴らしいところね」
 大きな腕を広げ、日差しを全身に受ける女。獣のような腕に、馬の蹄のようになった足。この世のものとはとても思えない姿をしている。
「この世界で、私は人間になれたの。ずっと憧れていたのよ。人を愛せるようになった。死を悲しむようになった。私は弱い怪物じゃなくなったのよ」
 女の過去は、そう、あの人のことしか知らない。この女が何であるのかと言われ、説明するならば悪魔と言うのが正しいだろうし、女も悪魔と言ったり、今のように怪物と言ったりする。
 あたしは、女の、この言葉に揺れることはない。世界を見る目は冷たくなっている。決して、たとえば同年代の少女のように、ファッション雑誌やアイドルのブロマイドに高い声を上げたり、薄っぺらい恋愛ソングに自分を重ねたりしたくはなかった。あたしは皆と違う。だから嫌われる、だから同じことはしない、それだけだ。
「ねえ、アイちゃん。アイちゃんは、私のこと邪魔かしら?」
 それでも、そんなに愛に対して経験があったとしても、そこは不安なのか。あたしははっきりしている。
「……邪魔じゃない。だったらとっとと追い出してる」
「じゃ、じゃあ、好き?」
「それは答えないといけない?」
「強制はしないわ」
 緑の髪、緑の肌、緑の目は、たまにらんらんとルビーのように輝くときがある。あたしの背はせいぜい百五十と少しほどなのに、二メートルの女がすがっている様子はなんだか笑ってしまいそうだ。
「契約は、契約。邪魔になったら破棄する。それだけ」
 女は、落ち込むかと思えば、目を赤くさせた。本物の宝石がまぶたの裏に埋まっているみたいだ。
「私は、だからアイちゃんのことが好きなのよ。だから、いつまでも好きでいさせてほしいの。アイちゃんは、私のことを好きになる必要はないわ。だから、好きでいることだけは許してほしいの」
 ふ、と息を吐いた。女は興奮しているらしく、肩を上下にするような息遣いだ。
「それを否定することは、あたしにはする権利がない」
 赤い爪で首に触れられると、ぞわりぞわりと背中が冷えた。白いセーラー服の中を流れる汗は、下着に引っかかってしみていく。
「ごめんなさい。嫌じゃなかったら、だけど、でも、あの、少しだけ触ってもいいかしら」
 どこに、とは聞かない。首には触れられている。命を奪える場所。相手は二メートルもある怪物だ。あたしなんて小さな人間を殺してしまうことなんて容易いだろう。プツンと切れそうな命の糸に、ハサミを当てられているような。
「少しだけなら」
 するするとセーラー服の中に緑の大きな手が入り込んでくる。下着越しに、あるわけでもない小さな胸に爪が食い込むのを感じた。左胸だった。どきり、と、もっと深く食い込めば心臓を貫くのではないかという恐怖も、ただ、ひとに、触られているという心地よさで思考が揺らいでいる。この心地よさは死に触れられている危うさからなのか、ただ、安心感と愛とやらに包まれているからか。
 少しだけはっと声を漏らすと、髪に女は顔を埋める。
「アイちゃん。ありがとう。好きよ。大好き」
「殺すなよ」
「信じて。アイちゃんは私を信じてくれたでしょう?」
 耳に舌と、歯が触れた。咀嚼するような唾液の音が鼓膜に直接やってくる。暑いのもあってか、汗がとまらない。アクエリアスのペットボトルをぎゅっと両手で握る。
 茹だるようなじっとりとした熱気と、歪んだようで真っ直ぐな好意、そして行為。命のやりとりに半歩進めば落ちてしまいそうな場所。あたしは深泥池を見る。暗くて深い緑の水。はくはくと息をしながら、肺を潰されるような気持ちの中で。何かに似ている。脳の裏側でそう考えている。欲の成れの果て。
 どうあがいても、あたしは、愛なんてわからないのだ。傷を舐め合うような獣のことなど、人間のあたしには、わからないのだ。

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